2.家電製品の技術レベルについて(2002.07.02)
これまで15年ほど家電製品の設計に携わってきましたが、一般に家電製品の技術レベルは軽く見られていると感じ
ます。特に、理数系に強い 学者タイプの人にこういう見方が多い様です。曰く 「家電品なんておもちゃの様な物、ただ
モータをグルグル回しているだけではないか、何の技術が必要なのか?」です。
確かに、レベルの高い製品や規模の大きな装置等に比べれば部品は少ないし、規模も小さいものですが、その中に
秘められた設計、製造に関する 技術やノウハウは小さくはありません。高度な製品を設計している人が、家電品を
設計すれば すごく良い家電品が出来るでしょうか?答えは否です。何事もそうですが、見た目と中身は一致しません。
特に、先にも述べましたが、厳しいコストの制約がある中でどのように新しい機能を追加して製品の付加価値を向上
させていくかについては、設計者が常に頭を悩ますところです。
例えば、洗濯機に新しい付加価値として「洗濯物の重さを計る機能」の追加が必要になったとします。この時「重さを
計るには重量センサを追加すれば良い」の発想ではダメなのです。なぜか?それはコストがかかるからです。「新たな
部品を追加せず、どうすれば今ある部品を使って重さを計れるか」を考え。モータは電気をつなぎ回転力を生む機械で
あるが、逆にモータのシャフトを回すと発電機となる。 この原理を応用してモータに一定時間電気を流して回した後に、
電気を止めて、停止後、どれくらいの時間パルセータ(モータにつながっていて、洗濯槽の底で水を攪拌するアレです)が
慣性回転するかを検出することで、間接的に槽内の洗濯物の量を測定する(洗濯物が多ければパルセータの抵抗が大
きくすぐに止まり、洗濯物が少なければ抵抗が小さく止まりにくいという性質を利用)のが家電の設計です。
ちなみに これは既に各メーカで「布量検出」(洗濯機の中に投入された衣類がどれ位の量なのかを調べ、必要な洗剤
量を表示したり、洗濯に必要な水の量、コースを決定するのに使われています。この機能が無い時代はユーザが手動で
水位の設定を行う必要がありました)として採用されています。
同じ機能を実現するのであれば 高くて大きな物を作るより、安く小さい物を作る方が技術レベルは高いのです。
家電製品の技術レベルは決して低くないと思います。
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